第1:仕事が原因の怪我、病気。労働災害の時。
法律で最低補償が決まっています。
治療費 支払いは0円です。
労働基準法第8章 災害補償
第75条 療養補償 労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかった場合においては、使用者は、その費用で必要な療養を行い、又は必要な療養の費用を負担しなければならない。
賃金 平均給料(直近の三ヶ月の給料総支給額合計を暦の日数で割った金額)の最低8割が補償されます。
第76条 休業補償 療養のため、労働することができないために賃金を受けない場合においては、使用者は、労働者の療養中平均賃金の100分の60の休業補償を行わなければならない。
後遺障害 障害が残ったら、年金、一時金払いで補償されます。
第77条 障害補償 労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり、治った場合において、その身体に障害が存するときは、使用者はその程度に応じて、平均賃金に別表2に定める日数を乗じた障害補償を行わなければならない。
死亡時 遺族補償、葬祭料が出ます。
第79条 遺族補償 労働者が業務上死亡した場合においては、使用者は遺族に対して、平均賃金の1000日分の遺族補償を行わなければならない。
第80条 葬祭料 使用者は葬祭を行うものに対して平均賃金の60日分の葬祭料を支払わなければならない。
事業主は一人でも労働者を雇用したら、労災保険に加入しないといけません。
事業主に著しい瑕疵がある時には労災上積補償の請求ができます。
第2:過労性疾患について知ろう
長時間労働も発症の原因です。
働き過ぎ、過労の時の頭痛、気持ちの悪さ、など要注意です。
脳疾患の対象疾患は
- 脳出血
- くも膜下出血
- 脳梗塞
- 高血圧性脳症
心疾患の対象疾患は
- 心筋梗塞
- 狭心症
- 心停止
- 解離性大動脈瘤
労働災害は次のような認定基準があります。
業務による異常な出来事
発症直前から前日に、業務に関連した重大な人身事故や重大事故に直接関与し、著しい精神的負荷、身体的負荷を受けた時。気温の上昇または低下などの作業環境の変化が急激で著しいものであった時
業務による短期間の過重業務
発症直前から前日までに過度なの長時間労働があった
発症前概ね1週間以内に継続した長時間労働があった
業務による長期間の過重業務
発症前1ヶ月間におおむね100時間を超える時間外労働があった
または
発症前2ヶ月間ないし6ヶ月間にわたって、1ヶ月あたりおおむね80時間を超える時間外労働があった
労働時間以外には次のことが負荷要因として考慮されます
不規則な勤務、拘束時間の長い勤務、出張の多い業務、交代制勤務、深夜勤務、湿度環境、騒音、時差、日常的に精神的緊張を伴う業務、発症に近接した時期における精神的緊張を伴う業務に関連する出来事
本人、家族、職場の仲間の注意が必要です
- 労働時間の記録を残しましょう
- 少しでも具体が悪い時は休みましょう
- 休みを申請しても、取らせてもらえない時は、ボイスレコーダーにその様子を吹き込みましょう。
- 家族、友達、労働組合に問題点を伝えておきましょう
- 問題のあるシフト表、勤務表は残しておきましょう
- 温度計、湿度計、騒音計で職場内測定をしましょう。
- 健康を無視した業務指示があったらメモしておきましょう。
- メモが厳しい時は、ボイスレコーダーに問題点を吹き込んでおきましょう。
第3:朝起き上がれない、それって心の病の労働災害かもしれません。
労働災害の対象となる心の病
うつ病 |
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急性ストレス反応 |
気分(感情)障害 |
神経性障害 |
ストレス関連障害 |
身体表現性障害 |
適応障害 |
他 |
こんな症状が出たら、早いうちに受診しましょう。
夜寝れない |
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起き上がれない |
突然涙が出る |
顔色がいつも悪い |
表情、感情が乏しくなる |
出勤しようと思うと身体が強張る |
ストレス性の湿疹が出る |
他 |
受診先は次のような病院で
心療内科 |
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精神科 |
症状の原因が次のような場合等は労働災害です。
受診の時に医師に必ず告げましょう。
発症直前の一ヶ月におおむね160時間以上の時間外労働を行なった場合 |
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発症直前の3週間におおむね120時間以上の時間外労働を行なった場合 |
発症直前の二ヶ月連続して一ヶ月あたり120時間以上の時間外労働を行なった場合 |
発症直前の三ヶ月連続して一ヶ月あたり100時間以上の時間外労働を行なった場合 |
発症前おおむね六ヶ月の間に月100時間程度の時間外労働があり、心に負荷のかかる出来事が起きた場合 |
退職を強要された。 |
左遷された |
仕事上の差別、不利益取り扱いの程度が著しく大きく、人格を否定するようなものであって、かつこれが継続した。 |
ひどい嫌がらせ、いじめ、または暴行を受けた。 |
身体的接触を含むセクシャルハラスメントが継続または、相談しても適切な対応がなく悪化した時 |
性的な発言のみのセクシャルハラスメントが継続し、改善されなかった場合 |
もともとあった心の病が、160時間を超える長時間労働、生死に関わる業務上の病気やけが、わいせつ行為などのセクシャルハラスメント受けるなどした場合 |
他 |
証拠として揃えておく資料
労働時間がわかるもの |
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ハラスメントの証拠 |
早めに組合に相談にいらしてください
ある朝起きれなくなり、休みの電話すら、出来なくなる前に相談してください。
心の病の場合、組合は次のように取り組みます。
- 症状に併せて、職場を休むかどうかを決めます。
- 休業が必要な場合は、速やかに休業申請をします。本人が言えない場合、職場が休ませてくれない時は組合から請求します。
- 休み時に、証拠資料が職場にある時は、持って帰ります。
- 会社に請求しないと資料が無い場合は、組合から請求します。
- お休みする時はまず、傷病手当金請求をします。必要に応じて、傷病手当金の前払い建て替えを事業主に組合が交渉します。
- ゆっくり休んで、落ち着いてから、労災申請のための準備を始めます。
- 労災の準備が終わったら事業主と交渉を始めます。
- 事業主との交渉を受けて、労働基準監督署に申請をします。
- 労災が認定されたら、傷病手当金との差し替えをします。
第4:パソコン業務、腕、肩を酷使する業務、背面管理などから発生する職業病もあります。
労働組合は相談を受け、ご本人と相談しながら次のような要求を考えます。
- 労働災害認定申請
- 労災上積み補償請求
- 労働時間、職場環境の改善
- 通院、軽減勤務などの確保