ハラスメントの起きない職場にしよう。
雇用主には労働者の心と体の安全に配慮する義務があります。
労働契約法第5条 使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体などの安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。
身体ともに誰かが傷つかないこと。みんなが気持ちよく働くために必要です。
被害にあった時の一歩:パワーハラスメントの定義を知ろう
厚生労働省は、平成24年3月に「職場のパワーハラスメントの予防、解決にむけた提言」をまとめています。
職場のパワーハラスメントの定義
- 上司から部下に対するものに限らず、職務上の地位や人間関係といった「職場内での優位性」を背景にする行為
- 業務の訂正な範囲を超える行為
職場のパワーハラスメントの6類型
- 身体的な攻撃 暴行 障害
- 精神的な攻撃 脅迫 名誉毀損 侮辱 ひどい暴言
- 人間関係からの切り離し 隔離 仲間外し 無視
- 過大な要求 業務明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害
- 過小な要求 業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと
- 個の侵害 私的なことに過度に立ち入ること
第2歩:記録を残そう。
相談をする時に、記録があるとハラスメントの事実についての理解ができます。
もし、休業しなければならないような事態になった時の、労働災害申請の資料になります。
事業主と交渉する時の、事実の証明になります。
もし仮に、訴訟をする時に必要になります。
記録は次の方法になります。
- メモ
- 5W1Hを必ず記録しましょう。赤字は例です。
- メモの内容は
- 何月何日何時何分 5月10日午前9時0分
- 場所 (密室か、公共の場か、そこに誰がいたか)
- 朝礼をしている会社のフロアで、全従業員が見ている前で
- 誰が(具体的役職名と、フルネーム)
- 丸丸営業部長が
- なにをしたのか この役立たず、辞めちまえと言った
- 方法はどうだったのか 大きな声で、怒鳴った
- どのような理由(表向きの理由と、本当の理由)目標数字に達しなかったため
- 同じノートや、媒体に記録しましょう。
- 媒体は、紙に出力出来るもので残しましょう。
- 医師の診断書。ハラスメントが原因で具体が悪くなったらすぐに医者にかかりましょう
夜眠れない、夜中に目が覚めてしまう、食欲がない、悲しくなる、朝起き上がれない、首が回らなくなる、などの症状が出たら、すぐに医者にかかりましょう。そして、原因となったハラスメントについて話をしておきましょう。お医者さんのカルテが後々、ハラスメントと症状との相当因果関係の証拠になります。
- 同僚の陳述書。ハラスメントにあった時に一緒にいた同僚に協力してもらいましょう
- ハラスメントがある職場では、同僚たちも明日は我が身です。我が身に上司の罵倒が降りかからないために、何も言えないのかもしれません。けれども、ハラスメントにあってしまった人が、退職したり、病気休職したりしたら、誰かが次のターゲットになる可能性がとても高いのです。
- 協力してもらうことはとても難しいかもしれませんが、同僚の証言、協力でハラスメントの無い職場を目指すことができます。
- 録音、録画。身に危険が迫ったら、録音も有りです。脅迫、詐欺により行った意思表示も無効、取り消しできます。
- 裁判例などでは、日本刀を振りかざされて退職届けにサインさせられたなどという、ほとんど犯罪?という事案も見られます。相談でも、監禁されたとか、自分や家族が暴力の恐怖にさらされる発言が行われたというものもあります。そんな時は録音機器を出すことで、暴言が止まることもあります。また、常軌を逸した発言は、メモでは信じてもらえなくても、録音で信じてもらうことが出来ます。ただ、録音があればメモは要らないととはなりませんから、必ずメモも取っておいてください。
- 録音自体で揉める事も有りますから、慎重に、相談しながら進めてください。
参考:身を守る為の録音であれば、解雇相当理由とならないとした判例
JPモルガン銀行事件 平成35(ワ)23687号事件
https://mainichi.jp/articles/20160412/k00/00m/040/045000c
第3歩:相談をしよう
最近では、就業規則にハラスメントの禁止を記載する事業主も増えてきました。反面、まだまだハラスメントについて無知な事業主もいます。
職場にハラスメント苦情処理委員会などがあれば、そこで相談するのも一つです。上司のまた上司に相談するという方法もあります。
苦情処理委員会、対策委員会などが十分に機能せず、上司に相談しても全く改善されない、などがあったら、労働組合に相談してください。
ハラスメントは労働条件問題です。労働組合が団体交渉で解決すべき内容になります。
労働組合は相談を受け、そのハラスメント問題についてご本人と相談しながら次のような解決策を考えます。
1、職場改善
2、心の病に発展した場合は、 労災申請。
3、ハラスメントの使用者責任が大きく、労災責任が大きい場合の労災上積保証請求
4、ハラスメントがもはや、不法行為レベルであった時の損害賠償請求